省エネ住宅と湿気
省エネ住宅は断熱性、気密性が高く隙間のない構造になっています。
それは冷暖房効果を高め、省エネルギーには効果的ですが、その反面、住宅内で大量に発生する湿気が問題になっています。
湿気は外気や床面、壁面、また調理、入浴、暖房、などあらゆるところから発生します。
そして通気の悪い場所に溜まり、カビ、ダニを繁殖させたり、結露をおこしたり住宅や健康に悪影響を及ぼすものです。
そのため省エネ住宅では特にしっかりと湿気対策を行う必要があります。
天気の良い日に複数の窓を開放して風を通す方法は最も健康的で省エネですが、計画的に必要換気量を計算し、必要換気量に適合する換気設備を設置して湿気を排出する方法もあります。
湿気のこもりやすい床下には床下用換気扇を設置し強制排気することで、床下の建材のカビや、床面から室内への湿気の流入を防ぐことができます。
除湿機やエアコンの除湿機能を利用することも効果的です。
押入れや天井裏などの狭い部分には市販の吸湿材が有効で便利なものです。
また、生活の中で少し配慮することによって、室内の湿気の発生を抑えることができます。
例えば雨の日には室内に洗濯物を干さないことです。
雨の日には換気の効果も低いため、室内に湿気を発生させないことが大切です。
室内の観葉植物水槽も湿気を発生させるものです。
そして開放型ストーブなども避けた方がよいものです。
室内の湿度は40〜60%が望ましいとされています。
毎日湿度計で定期的に測定し、それぞれに合った湿気対策で、適切な湿度を保つこと心掛けたいものです。
省エネ住宅と省エネラベリング制度
省エネ住宅という考えの普及に伴い、電化製品などでも省エネ型製品が求められるようになりました。
近年では電化製品や石油機器が普及しエネルギー消費量が増加する一方、技術の進歩により省エネ性能の高いものが開発されるようになっています。
そこで2000年8月には消費者が「省エネ型製品」を購入する目安として「省エネラベリング制度」がJIS規格として制定されました。
省エネラベリング制度とは電気や石油などのエネルギー消費機器の省エネ性能を表示したものです。
そして消費者が店頭で製品の購入する際、多機種との比較検討の材料として利用することを目的としています。
省エネラベルには4つの情報が示されています。
一つ目は省エネ基準の達成を示す「省エネ性マーク」です。
オレンジ色のマークは基準を達成していない製品、緑色のマークは基準を達成した製品で、省エネ効果の高い製品ということになります。
二つ目は製品の省エネ基準の達成率を%で表した「省エネ基準達成率」を表示しています。
この達成率が高いほど省エネ性能に優れていることになります。
三つ目には省エネ基準の達成を目指す時期を「目標年度」として表示しています。
四つ目には製品の「エネルギー消費量」を数値で表示しています。
現在ではエアコン、冷蔵庫、テレビなど16品目が対象になっています。
省エネ性能が高い製品は消費エネルギーが少ないだけではなく、光熱費を抑えることができる製品でもあります。
省エネ住宅では生活用品にも配慮をして、環境や家計に優しいものを選ぶことが望まれます。
省エネ住宅とエアコン
一般家庭におけるエアコンの消費電力は電気消費量全体の4割を占めると言われています。
そこで省エネ住宅では、エアコンによるエネルギーの消費量を抑えることが大切です。
特に梅雨から夏には湿度が高まり、快適な室内環境を作るためにエアコンを利用する機会が多くなります。
エアコンに頼らない生活をするのが一番の省エネですが、現実にはその日の天候によってはエアコンが必要な場合もあります。
そこでエアコンの機種の選び方に注意することによって、省エネにつなげていく方法があります。
エアコンは店頭でも様々なメーカーのものが販売され、機能や性能も多様です。
まず、最初に確認するべき点は省エネラベルです。
これには省エネ性マークと省エネ基準達成率、そしてエネルギー消費効率、目標年度の4つの情報が示されています。
多機種を比較検討するときにはぜひ参考にしたいものです。
機能面では自動的にフィルターの掃除をする機種が近年人気を集めています。
一般的なエアコンのフィルターはこまめに掃除をしないとホコリがたまり、冷房効果を下げてしまいます。
自動掃除機能はエアコン内部をきれいに保つ機能です。
フィルターの掃除をしなくても冷房効果を維持することができ、省エネだといえます。
他にも近年のエアコンは人を感知して運転を調整する機能や、その家庭に最適な運転を自動で行う機能があり、無駄を省くことで省エネ効果を上げることが期待できるものです。
エアコンは省エネ住宅にも欠かせないものですが、地球環境を悪化させないためにも、できるだけ環境への負荷が少ないものを選びたいものです。
省エネ住宅とシックハウス症候群
省エネ住宅では近年、シックハウス症候群が問題になっています。
シックハウス症候群とは、住宅の新築や改築の直後に入居した人に起こる症状で、めまいや吐き気、頭痛、倦怠感、湿疹、呼吸器疾患などの体調不良が起きるものです。
このシックハウス症候群が認知されていない頃には原因不明な症状とされ、自宅療養などでさらに症状が悪化することがあったようです。
シックハウス症候群の原因は、住宅の中の建材、家具、日用品から発生する様々な化学物質が考えられます。
近年の住宅は建築する際に、接着や殺虫などの目的でいろいろな化学物質を使用します。
その化学物資が室内空気を汚染し人体に入りこむのです。
特に気密性に優れた近年の省エネ住宅では換気が十分行われず、汚染された室内空気が留まりやすいため、シックハウス症候群の発生や悪化につながりやすいと言われます。
シックハウス症候群を発生しないためには原因物質を生活環境から排除することが求められます。
近年では法律でも建築材料や殺虫剤の使用を制限するなどの対策を行っています。
また日常生活の中で換気方法や日用品の選び方に注意することも重要です。
特に新築や改築の当初と、高温多湿になる夏は、化学物質の発散が多くなります。
換気は複数の窓を開放して十分な通風を確保し、省エネ住宅では換気設備を有効に利用し計画的に換気することが必要です。
そして室内は禁煙にし、カーテンやじゅうたん、床に塗るワックス類、防虫剤、洗剤などの日用品は化学物質を発散するものがあるので十分注意して選ぶようにします。
省エネ住宅の機能を十分発揮するためにも、化学物質はできるだけ室内から排除したいものです。
省エネ住宅と日射
日射は住宅の快適さを左右する重要な条件です。
冬場はできるだけ多く日射を取り込むと、暖房の補助的な役割を果たします。
日射そのものの熱だけではなく、日射で暖められた床や住宅全体から輻射熱によって室内の温かさが保たれます。
日射を直接室内に取り込む方法を「ダイレクトゲイン」といい、自然の恵みを利用した省エネ方法の一つです。
冬とは反対に、夏は日射をできるだけ取り込まないことが冷房効果を高めます。
夏の日射熱はとても強く、屋根や外壁から内部へ伝わり室内の空気やあらゆるものの温度をあげます。
さらに輻射によって住む人に伝わり、暑さを感じることになります。
断熱性の高い省エネ住宅では、一度室内に入った熱は外へ逃げにくい構造になっているため、日射を入れない対策が必要です。
夏に日射を室内へ入れないためには、屋根や外壁、窓ガラスの断熱性を高くする方法があります。
最近では、日射による熱が室内に入らないようにガラスに特殊なコーティングがしてある「遮熱ガラス」が出ており、省エネ住宅など取り入れられています。
建物の軒を出したり、ひさしをつけるのも効果的です。
窓にカーテン、ブラインド、サンシェード、すだれ等をとりつける方法も冷房効果を高めることができる手軽な方法です。
また樹木を植えて日陰を作り、日射を除けることも効果的な方法です。
樹木、草花には周辺の温度を下げる効果があり、涼しい風を得ることができます。
省エネ住宅では必要に応じて日射を取り込んだり、除けたりして冷暖房によるエネルギー消費を抑えることが大切です。
省エネ住宅と植栽
住宅に植栽を取り入れることでいろいろな省エネ効果を得ることができます。
夏には強い日射を遮ると同時に、屋外の温度を下げる効果があり、涼風、清風を得られます。
冬に葉が枯れ落ちる落葉樹なら、冬には日射を利用できます。
一年中室内を快適温度に近づけ、冷暖房によるエネルギー消費を抑えることができるのです。
植栽を行う時には樹木の選択に気をつける必要があります。
常緑樹は、夏には強い日差しを遮り涼しさをもたらしますが、冬には温かい日差しを遮ってしまいます。
南向き、東向き、西向きの窓の周囲には落葉〜が適し、特に南面には藤棚などで日陰をつくることも効果的です。
北向きの窓の周辺には、冬の間の防風や目隠しに有効な常緑樹が適しています。
また樹木の成長に伴う枝葉の広がりや高さを予測して、住宅の植栽場所に適しているか判断して樹木を選ぶことも大切です。
植栽の中でも屋上緑化や壁面緑化は近年省エネ住宅として注目が集まっています。
これは屋根や壁面、ルーフテラスに芝生などの植物を植えて緑化する方法です。
緑化は断熱効果があるため、夏は涼しく冬は暖かく室温を保ち、冷暖房効果を高めることができます。
そして緑は温室効果ガスであるCO2を吸収するため環境にもやさしく、近年都市部で問題となっているヒートアイランド現象の緩和に役立ちます。
植物は生き物であり、植栽や屋上、壁面の緑化には、水やりや雑草の抜き取り、枝葉の手入れなどの手間がかかるものです。
しかし環境にやさしく、視覚的にも精神的にも住む人に良い影響を与えるもので、今後多くの省エネ住宅に積極的に取り入れられることが望まれます。
省エネ住宅と風通し
省エネ住宅では冷暖房に頼りすぎない生活が望まれます。
自然の風を室内へ取り入れることによって室内の温度や湿度を調整し、快適な室内環境を保つことは身体にもよく、省エネにも効果的です。
風通しにはまず、窓を開けた時に自然の風が入りやすい環境することが必要です。
間取りを決める時には、建物や庭の植栽が風を妨げないように窓を配置します。
高断熱、高気密の省エネ住宅では夏の暑さが室内にこもりやすいと言われますが、風通しを確保し、風と一緒に暑さを逃がすことで解決できます。
窓の大きさや方位も風通しの良し悪しを決める重要な条件です。
基本的に南面に大きな窓、東、西、北には必要最小限の大きさの窓を設置します。
窓を大きくすると熱損失が大きくなってしまうため、日射を得る窓以外は風が通る最小限の大きさにとどめることが省エネにつながります。
そして風の入口と出口をあらかじめ考慮し、2面以上の壁に窓を配置することも重要です。
最近では開放感を高める目的で玄関やリビングに吹き抜け空間を設ける住宅が増えています。
これは風通しの面から有効な方法で、特に夏は涼しいという利点があります。
吹き抜けの壁に大きな窓を設けることで光による明るさと熱も期待できます。
吹き抜けの風通し効果を最大限に発揮するためには1階から吹き抜けの窓へ空気が流れるよう、窓や換気扇を工夫することが必要です。
しかし冬には暖かい空気が吹き抜け上部にたまり、1階の床面の温度が下がるという問題が生じます。
空間全体を均一な温度に近づけるためには、屋根や壁の断熱をしっかり行うと同時に、天井扇で空気を循環させるなどの方法をあらかじめ考えておくことも重要です。
省エネ住宅と照明
省エネ住宅を考える時、誰もが取り入れやすいものに照明器具があります。
家庭における照明のエネルギー消費量は全体の20%といわれています。
照明の省エネは毎月の電気代の節約にもなり、環境保全のためにもよいことです。
照明器具のランプには白熱灯と蛍光灯があります。
蛍光灯はランプ代は高いものの、寿命が長いため、白熱灯より経済的といえます。
ランプの寿命が長いことは省資源でもあります。
蛍光灯は点灯時に一番多く電力を消費するという特性があります。
点け消しが多ければ寿命も短くなってしまいます。
そのため長時間点灯している部屋では蛍光灯が経済的で、点け消しが頻繁に繰り返されるトイレや洗面所には白熱灯が適しているといえます。
このようにランプの特性と設置場所の照明の使用状況によって、白熱灯と蛍光灯を的確に使い分けることが経済的であり、省エネ効果をあげることになります。
また調光器で明るさを調整することも効果的な方法です。
玄関や廊下など一晩中灯をつけておく場所に適したもので、ランプの寿命も長くなります。
もともと調光可能なランプは白熱灯だけでしたが、近年では蛍光灯でも調光可能なものが出ています。
人の気配で自動的に点灯、消灯を行うセンサーも省エネ効果の高いものです。
また暗くなったり一定期時間人の気配がないと、自動的に消灯したり明るさを絞ることのできる高機能な器具も出ています。
LEDも経済的で寿命が長く、省エネに効果的な次世代の光源として注目を集めています。
このように照明は日々進化しており、省エネ効果の高い器具は多く開発されています。
省エネ住宅では適切な照明設置と無駄な照明の消灯などに配慮して省エネを心掛けることが大切です。
省エネ住宅と環境共生住宅
環境共生住宅とは、エネルギー、資源、廃棄物などの面で環境への配慮がされ、また周辺の自然環境と調和し、住む人が健康で快適に生活できるような工夫がされた住宅のことをいいます。
この環境共生住宅が提唱される背景には地球の環境問題や、資源問題、都市化による住宅環境の悪化があります。
現在では国をあげて省エネ住宅や環境共生住宅の普及に取り組んでいます。
環境共生住宅は地球環境の保全を目的の一つに挙げています。
それには環境負荷の少ないエネルギーを利用することが重要になってきます。
石油、石炭、ガスなどの使用を減らし、自然エネルギーを有効に利用することが一つの手段です。
そしてもう一つの目的に周辺環境との親和性があります。
住宅周辺に植栽を施したり、住宅敷地内や屋上を緑化することで、野鳥や虫などの生態系との共生が実現すると同時に、ヒートアイランド現象や大気汚染などの環境問題への対策としても有効です。
また、環境共生住宅の概観は周囲の景観になじむことが大切です。
地域の町並みに住宅を調和させることは、視覚的、精神的に心地よい環境をつくることができます。
そして3つ目の目的に居住環境の健康、快適性が挙げられています。
住宅内の有害物質が原因で発生する「シックハウス症候群」を防ぐためにも、建材、内装材へ十分配慮することが必要です。
また高齢化社会にともない住宅全体をバリアフリーにし、手すりを取り付けることも一つの方法です。
環境共生住宅の実現には、さまざまな方法からそれぞれの住宅に合った方法を採用していくことになります。
環境共生住宅は、省エネによって環境問題の改善を目指す省エネ住宅とともに、今後私たちの住宅の基本となっていくことが期待されています。
省エネ住宅と自然エネルギー
地球の環境問題が深刻になっている今日、省エネ住宅を実現する方法として自然エネルギーが注目を集めています。
自然エネルギーにはCO2を発生せず、クリーンで環境に優しいエネルギーです。
自然エネルギーの中でも太陽エネルギーは、省エネ住宅や施設で既に取り入れているところも多くあります。
太陽エネルギーを利用したものには太陽光発電(ソーラーシステム)や太陽熱温水器などがあります。
活用の幅が広く、身近なエネルギーとして消費者の関心を集めています。
地熱エネルギーは日本の豊富な地熱資源を生かしたエネルギーです。
最近ブームになっている岩盤浴はこの地熱を利用したものです。
地熱エネルギーは地下で発生する熱を水蒸気や他の中間熱媒体によって取り出すことによって、主に入浴、冷暖房、園芸などの小規模な省エネに利用されています。
現代、最も期待が高まっているものに風力エネルギーがあります。
風を利用した風車は古代から生活の中で活用されていました。
現代では風車の回転をエネルギーに換え、電気自動車、風呂、温室などに利用されています。
コストが低く、熱変換には100%の効率が得られ、今後用途の幅が広がっていくものと思われます。
水力エネルギーはほとんどが発電に使われており、水力発電として日本では古くからダムによる発電が行われてきました。
現代ではダムによる水力発電は減っていますいが、別の方法で水力発電が行われています。
今後さらに研究が進み省エネ住宅に取り入れられることが期待されています。
自然エネルギーには他にも様々なものがあり、現在も研究開発が続けられています。
石油や石炭などの化石燃料頼らず、自然エネルギーを有効に活用することが未来の地球のために重要なことなのです。
省エネ住宅と太陽光発電
近年、地球温暖化のもたらす問題が深刻になるにつれて、世界各国で防止対策が講じられるようになりました。
日本も例外ではなく、2008年から2012年までにCO2などの温室効果ガスを6%削減することを目標に、省エネ住宅の普及など、家庭における消費エネルギーを削減する対策に国をあげて取り組んでいます。
太陽光発電は屋根に太陽電池を取り付けて、太陽の光で電力を作り出すシステムです。
発電時にCO2や有害なガスを出さず、電力使用のピークである夏に発電が多くできるということから、人にも環境にもやさしい省エネ住宅を実現できる手段として国でも推奨しているシステムです。
そして電気代を大幅に節約できるという点でも優れています。
昼間は自家発電による電気を使うため電気代がかからないためです。
そして余った電気は電力会社に売ることができるのです。
初期費用は高額ですが、長い目でみると太陽光発電の方が経済的な場合もあります。
また災害時や停電時に電力を得ることができることや、屋根に取り付けるパネルが夏涼しく冬暖かい断熱効果を発揮することなどでも評価が高く、近年では省エネ住宅でも取り入れられています。
しかし、太陽光発電は設備が高額で、天候に左右されやすいなど課題も多くあり、今後さらに改善が求められています。
太陽光発電は地方自治体による補助金制度が設置されており、特に設置費用が高額なこのシステムでは、補助金制度による普及が期待されています。
省エネ住宅とエコキュート
日本では近年、省エネルギー対策が強化され、家庭でも省エネルギーに配慮した生活が強く求められています。
家庭における省エネルギー対策のひとつにエコキュートの導入があります。
エコキュートは数ある「自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機」の愛称として使われているものです。
エコキュートは空気熱を利用して湯を沸かす高効率給湯機で、エコキュートによって湧いた湯は風呂や調理、最近では温水床暖房やパネルヒータ〜にまで利用できるようになっています。
近年では各電力会社や給湯機メーカーが競って開発、販売しています。
エコキュートで湯を沸かすために消費する電気エネルギーは、熱エネルギーの場合の3分の1程度で、従来の給湯機に比べてCO2排出量を60%。
削減することができます。
そして大気中の熱を奪う冷媒CO2は工場などで発生したCO2を利用しています。
エコキュートは地球温暖化の元凶であるCO2を逆に利用し、大幅に省エネ効果をあげる画期的な給湯機として高く評価されています。
2000年に開発されたエコキュートは2006年には約48万台が設置され、経済企画庁は2010年までに520万台の設置を目標にしています。
省エネ住宅では経済性も重要ですが、エコキュートは初期費用がかかるものの、それ以上の経済的メリットがあるといわれています。
また国からの補助金制度もあり、初期費用の経済的負担は軽減されます。
エコキュートは設備を置くスペースが必要なこと、寒冷地に対応していないことなどがデメリットもいくつか指摘されており、今後さらに改善が求められています。
エコキュートが今後さらに普及し、省エネ住宅が増えることが期待されています。
省エネ住宅と補助金制度
省エネ住宅という考えの背景には地球の環境問題があります。
1990年代に地球温暖化のもたらす問題が指摘され始め、世界各国で防止対策が講じられるようになりました。
日本も例外ではなく、地球温暖化の防止対策の一つとして、各家庭における消費エネルギーを削減する取り組みが始まったのです。
省エネ住宅の普及は国を上げて取り組んでいる課題です。
国では各種補助金制度を設置するなどの取り組みを行っています。
「エコキュート導入補助金制度」もその一つで、これは家庭の中のエネルギー消費量の3分の1を占める給湯に着目し、高効率給湯機であるエコキュートを導入する際にその費用を補助する制度です。
最近では、指定された高効率システムを住宅に導入する際に、建築主にその費用の一部を補助する補助金制度が設置されました。
この制度を利用して高効率システムの導入が増えることが期待されています。
太陽光発電システムの導入に際しては、国の補助金制度を地方自治体が引継ぎ、自治体ごとに補助金制度を設けています。
自治体によって金額や条件が異なりますが、特に太陽光発電システムは設置費用が高額なため、補助金制度の効果が期待されています。
他にも自治体によって個別の補助金制度が多くあり、自治体の環境問題へ取り組む姿勢が明らかになっています。
省エネ住宅に関する補助金制度は、建築会社や関係者の間では周知されていますが、一般市民には余り知られていないのが実情です。
補助金制度が効果を発揮し、日本の省エネ住宅が増え、地球の環境悪化に歯止めがかかることが期待されます。
省エネ住宅と床暖房
冬場に室内を快適な温度に保つためには暖房器具が必要です。
省エネ住宅では効率よく室内を暖める暖房器具が求められます。
エアコンやファンヒーターによる暖房は、暖かい空気は上昇し冷たい空気が足元に残るため、室内の温度にムラができてしまいます。
人間は頭部より足元が温かいと快適に感じる傾向があります。
それは昔から「頭寒足熱」といわれ、厚手の靴下を履き、カーペットを敷くなどで冬場は足元を暖めてきました。
近年の多くの家庭で取り入れられている床暖房は、この「頭寒足熱」を行う理想的な暖房器具だといえます。
特に断熱性、気密性に優れた省エネ住宅では、空気を汚さず、穏やかに室内を暖める床暖房が最適しています。
床暖房は熱の伝導と輻射によって床から室内全体を均一に暖めることができます。
熱源は床下にあるため、子どもや年寄りが誤って触れて火傷をする心配がなく安全面で優れているものです。
火を使用していないため、燃焼ガスによる空気の汚染がなく、乾燥や換気の心配がありません。
冬場の室内の乾燥はウィルスの繁殖などの悪影響を及ぼします。
また床自体が暖房器具であるため暖房器具を置くスペースや収納スペースを確保する必要がないことも大きなメリットです。
床暖房は主に熱源によって電気式と温水式に分けられます。
電気式では床下に電気ヒータ〜を設置して床を暖めます。
一般的に維持費がかかると言われますが、小スペースでの利用は便利で経済的です。
温水式は床下に温水を循環させることで床を暖める方法です。
初期費用はかかりますが、維持費は割安で、住宅全体を暖めることができる今注目を集めている方法です。
床暖房は対流式のエアコンやファンヒーターに比べ、効率の良い暖房ができ省エネ効果が期待できるものとして関心が高まっています。
省エネ住宅と暖房器具
家庭で使われる暖房器具にはさまざまな種類がありますが、それぞれに良い点、悪い点があります。
暖房器具には暖めた一部の空気を対流させることで室内全体を暖める「対流式」と、赤外線による照射によって人体を暖める「輻射式」、また熱源が直接人体を暖める「伝導式」がありあます。
石油ストーブ、ガスファンヒーターなどは対流式の暖房器具で、手軽で使いやすいことから家庭に多く取り入れられてきました。
しかし、このような開放型の暖房器具は燃焼ガスを発生するため、室内空気を汚しやすいという欠点があります。
オイルヒーターなどのパネルヒーターは、輻射と自然対流を利用し部屋全体を暖める仕組みの暖房器具です。
空気を汚さず、健康面、安全面でも優れています。
近年パネルヒーターはさまざまな改良がされ、立ち上がりの早いものや温水タイプのものも登場し、選択肢が拡がっています。
しかし電気を多く消費するため省エネ効果は低く、電気代が掛かってしまうという欠点があります。
近年注目を集めている床暖房は、熱の輻射と伝導を利用し「頭寒足熱」の理想的な暖房によって室内温度を均一に暖めることができる暖房器具です。
空気の汚染や乾燥が少なく、また場所をとらず、音も静かなど優れた面を多くもち、省エネ住宅や新築マンションなどでは標準装備になるほど普及しています。
床暖房には電気式や温水ガス式など熱源も多様化していますが、床温度を上げることは体感温度を効果的にあげることでき省エネにも有効です。
特に断熱性、気密性に優れた省エネ住宅では、空気を汚さず、穏やかに室内を暖める床暖房は最適な暖房器具だといえます。
省エネ住宅と電化製品
私たちの生活の中ではさまざまな電化製品が使われています。
その電力を発電するために多くのエネルギーが消費されています。
それは石炭、原油、天然ガスなど自然界に存在するものが原料で、こういったものは有限な資源といわれています。
省エネ住宅では構造上の対策だけではなく、生活の中でも省エネを心掛け、さまざまな工夫をすることによってエネルギー消費を抑えることも大切です。
家庭で使用する電力は、冷蔵庫、エアコン、テレビ、照明などによる消費が最も多いといわれています。
したがって電化製品を高効率なものに買い換えることは省エネには効果的です。
これらの電化製品はトップランナー方式の採用によって、近年大幅に効率が向上しています。
また電化製品の使い方によってもエネルギー消費量は大きく変動します。
例えば冷蔵庫では、庫内に物を詰め込みすぎるとエネルギーが多く必要となります。
また熱いものは冷めてから入る、扉の開閉数を少なくするといったことも省エネになります。
最近ではエネルギー効率のよい電化製品もさまざまな種類のものが出ています。
その一つに食器洗い乾燥機があり、近年では一般家庭にも普及しています。
食器洗い乾燥機は貯めたお湯で食器を洗うため、ほとんどの場合大幅に水の使用量を減らすことができます。
水の使用でもエネルギーは消費されます。
河川水から水道水を作り出すエネルギー、給水するエネルギー、汚水を処理するエネルギーなどです。
水を大切につかうことは省エネにもなるのです。
省エネは地球の環境問題に関わる重大な課題です。
省エネ住宅では電化製品の消費エネルギーに配慮した生活をし、不必要なエネルギーを使わないような心掛けが大切です。
省エネ住宅とオール電化
生活に必要なエネルギーすべてを電気でまかなう住宅のことをオール電化住宅といいます。
オール電化は新築住宅を中心に普及しており、近年ではブームとなっています。
オール電化が支持される理由には、安全ということが第一に考えられます。
住宅の中で裸火を扱わないことは、火傷、不完全燃焼、火災の危険性が大きく下がることになります。
実際、電気で人命に関わる大事故もほとんど見受けられません。
また電気は災害時に復旧が早いということでも支持されています。
電力は貯蓄が可能なため停電の影響も少なく、非常時にも活用されます。
そして電気は二酸化炭素等の燃焼ガスを発生しないため、室内の空気を汚しにくいという点でも優れています。
こういったメリットは高断熱、高気密の省エネ住宅に適しているもので、近年では省エネ住宅の中でもオール電化住宅が増加しています。
オール電化の中で省エネ効果の高いものに「エコキュート」というシステムがあります。
これは空気中の熱を利用してお湯を沸かすことができる電気温水機で、このお湯は風呂水や床暖房、浴室暖房、乾燥などに活用することができます。
経済的かつ省エネであるこのシステムは、国からの補助金対象となっており、今後ますます利用者が増えると思われます。
このように国や消費者から支持されているオール電化ですが、デメリットも多く指摘されています。
その一つに電磁波の問題があります。
電磁波が人体に及ぼす影響は明らかにされていませんが、いいものでないということは確かです。
一番電磁波に触れる機会が多い主婦や近くにいる子ども、また妊娠している場合には胎児への影響が心配されています。
省エネ住宅とドア
省エネ住宅では窓やドアなどの開口部は省エネ性において弱点になる部分だと言われています。
それは隙間ができやすく、熱伝導がよい部分だからです。
玄関や勝手口などのドアは、開閉回数が多く、住宅の中でも外気が入りやすい部分です。
従来よく使われていたアルミ製のドアは、近づくと冷気を感じたり、表面に結露がみられることがよくありました。
そこで同じアルミ製のドアでも内部に断熱材を入れたり、ガラス部分に高断熱ガラスを採用した断熱タイプのドアが開発されました。
熱の出入りを最小限に抑えるため省エネ効果も高まり、玄関や勝手口付近の寒さを防ぐことができます。
またドアのゴムは毎日の開閉によって擦れたり、長期間の使用によって硬くなったり、ヒビが入ることがあります。
ドアを閉めていても隙間風が入る時には、ゴムの取り替えや取り付け位置の微調整を行うことも必要です。
室内のドアも同様に、断熱、気密性が省エネ効果に大きく影響します。
一般的な住宅では、冷暖房をしている部屋としていない部屋との温度差が激しく、身体に負担がかかってしまいます。
断熱、気密性が高い省エネ住宅は、1,2台のエアコンで住宅全体を冷暖房することができるといわれます。
部屋の温度差も少なくなり身体に負担の少ない住宅だといえます。
日本のドアや窓は昔から「引き戸」が主流でした。
「引き戸」は多くの面積が開けられ風通しがよい反面、気密性においては劣るといわれています。
しかし近年では気密性の高い「引き戸」も開発されており、省エネ住宅では多く取り入れられています。
今後は省エネ住宅のドアも選択の幅が広がっていくものと思われます。
省エネ住宅と換気
省エネ住宅では近年、室内換気が重視されています。
平成15年には新築住宅における換気設備設置が法律によって義務付けられました。
室内で過ごしていると必然的に汚れた空気が生じます。
例えば人の呼吸や暖房器具による二酸化炭素、湿気、調理やトイレなどからの臭いなどです。
また建材や家具、日用品などからは有害物質が発生することもあり、シックハウス症候群という健康上の問題を引き起こしています。
高気密化した省エネ住宅では特に汚れた空気が室内に留まった状態になってしまいます。
そこで住む人の健康を守るためには換気を行い、新鮮な空気を確保することが必要となります。
隙間の多い昔の住宅では汚れた空気は自然に外へ流れていきました。
しかし隙間の少ない現代の省エネ住宅では自然換気の効果は期待できないため、換気扇による計画的な換気を行うことで、空気の汚れを適切に排除する必要があります。
換気には室内の汚れや化学物質を排出する他、暖房器具への酸素の供給、臭いや湿気を排出するなど多くの役割があります。
換気の方法にはトイレや浴室など特定の場所の換気を行う「局所換気」と、住宅全体の換気を計画的に行う「全体換気」があり、シックハウス対策としては全体換気が有効です。
全体換気ではリビングや子ども部屋など人が長く過ごす場所から、トイレ、台所など空気の汚れやすい場所へ空気を流し、最後に汚れが発生しやすい場所から外へ排出する流れとなります。
計画換気は住宅の立地環境、気密度などを考慮した上で適した方法を選ぶことも大切です。
効果的な換気を行うことによって、省エネ住宅はより健康的で快適な空間になるといえるでしょう。
省エネ住宅と気密性
省エネ住宅は断熱性とともに気密性が重視されています。
住宅ではどんなに閉め切っていてもドアや窓、壁や天井、床などの部材間には隙間が生じています。
この隙間の多少を気密性といい、気密性の高い住宅ほど隙間が少ない住宅だということになります。
しっかり断熱対策をしていても、少しの隙間から熱気や寒気が入り込み室温に影響を及ぼすものです。
特に冬には隙間からの冷気は暖房効果を下げるため、エネルギー消費量が増大します。
北海道など寒冷地から機密性の高い住宅が発達していったのはそのためだと考えられます。
現代では夏も冷房の使用が増え、隙間から冷房の冷気が外へ流出してしまい冷房効果を下げてしまいます。
つまり気密性の高い住宅は冷暖房の効率がよく省エネだといえます。
気密性を高めるには断熱、気密性の高い高気密サッシを用いたり、断熱材とともに気密シートを張る方法が効果的です。
近年では気密性が高まることによって問題も生じています。
それは室内空気の問題です。
隙間の多い昔の家では、少々汚れた空気があっても自然に外へ流出していきました。
しかし高気密住宅では汚れた空気は室内に留まります。
それは汚れた空気の中の有害物質も一緒に室内に留まることになるのです。
そこで有害物質や汚れた空気を排除するために換気が必要となります。
換気は高気密であるほど有効に効果を発揮します。
換気は汚れた空気を排除して新鮮な空気を確保するだけでなく、室内の燃焼器具に必要な酸素を確保するなどさまざま役割を果たします。
気密性の高い省エネ住宅では、住宅を設計する段階でしっかり換気計画をたてることが望まれます。
省エネ住宅と屋根緑化
省エネ住宅の省エネ対策のひとつに屋根緑化があります。
屋根緑化とは屋根やルーフテラスに芝生などの植物を植えて緑化することです。
同じような方法に壁を緑化する壁面緑化があります。
東京都や他の大都市では近年、平均気温の上昇、真夏日、熱帯夜の増加といった現象が起きています。
これはヒートアイランド現象といわれるもので、暑さによる睡眠障害、熱中症の増加、エネルギー消費量の増大などさまざまな問題を引き起こしています。
ヒートアイランド現象を引き起こす原因の一つに、会社や住宅が冷暖房を使うことにより、排出される熱が増大したことがあげられます。
屋上緑化はこのヒートアイランド現象に有効な対策として注目されています。
屋上緑化は、夏は涼しく冬は暖かく室温を保つため、冷暖房効果を高めることができ、省エネにつながります。
かつて屋上緑化は会社や施設など特定の場所に見られるものでした。
近年、ヒートアイランド現象の深刻な東京都では、会社や施設のみならず省エネ住宅においても屋上緑化を取り入れることを奨励しています。
また、屋根緑化には他にも多くのメリットがあります。
一つには植物が紫外線を遮るため屋根に直接紫外線が当たらず、屋根資材への負担が減り、耐久性が向上するということです。
そして植物が大気中のちりや二酸化炭素を吸収し、きれいな空気を保つことができます。
省エネ効果が高く、環境にも優しい屋上緑化は今後ますます省エネ住宅に取り入れられていくことが期待されます。
省エネ住宅と床
住宅の中でも床は住む人の足が常に触れている大切な部分です。
特に日本人は靴をはかない生活をしているため、直接足に触れる床は体感温度や健康にも大きな影響を与えます。
省エネ住宅では壁や天井と同様に床にも断熱材を入れます。
床下には地面の冷気、湿気がこもっており、その侵入を防ぐために断熱材は隙間無くしっかり敷き詰めることが重要です。
床下に断熱材を入れることは防音対策にもなります。
床面の問題にはダニやカビの発生があります。
ダニやカビの原因となる湿気は床下の土壌から床材を通じて室内へ入ります。
近年の住宅は気密性に優れているため冷暖房の効果は上がりますが、一方では適切な湿度が保ちにくく加湿器や除湿機で調整しなければなりません。
この床下の湿気を取り除くには、風が通るためには通風を確保し、防湿フィルムを敷き詰めたり、コンクリートを打つなどの防湿対策を行う必要があります。
また、建築する上での対策とは別に、室内の床材や敷物によって省エネ効果を上げる方法もあります。
例えば日本の伝統的な床材である畳は、吸湿性が高く、湿度を畳自体が調整してくれる優れた床材です。
質感もよく、見た目にも落着きがあります。
カーペットやラグなどは熱の損失が少なく、冬に敷くことで床をより温かく感じさせる効果があります。
反対にフローリングや畳、茣蓙は夏には冷たく感じられ、見た目にも涼しげになります。
床は省エネであると同時に、強度や耐久性に優れ、自然のぬくもり、肌触りのよい質感、見た目にもよいことなどが求められます。
省エネ住宅と屋根
省エネ住宅で夏の間冷房に頼りすぎずに快適に暮らすためには、屋根に十分な対策を行うことが重要です。
夏には強い日射が屋根や外壁の温度を上げ、熱は天井、室内へ伝わり、空気の温度をあげます。
夏は日射熱を室内に伝えないために、天井裏や屋根裏に断熱材を貼り付ける必要があります。
それは同時に冬の間、暖かい空気が外へ流出するのを防ぐ効果もあります。
屋根材に日射を反射するものを使用し遮熱対策をすることも効果的な方法です。
また屋根裏は気温が高い時には熱気をためこみ、冷房効果を下げる大きな原因になります。
そこで一つの対策として屋根裏換気を取り付ける方法があります。
屋根裏換気は屋根裏の熱気を排出することで冷房効果をあげ、省エネにつながります。
熱交換方式の換気システムはさらに効果的です。
最近では屋根裏にロフトを取り付ける住宅も増えていますが、ロフトのように屋根裏が住まい空間になっている場合には、断熱材の利用と屋根板を二重にするなどいくつかの方法を併用して遮熱対策を行う必要があります。
屋根緑化も省エネ効果を高めるのに効果的な方法です。
屋根緑化は建物の屋根や屋上、ルーフテラスに芝生などを植えて緑化することで、自然と一緒に生活する方法です。
以前は会社や施設などで多くみられましたが、最近では省エネ住宅でも取り入れられるようになってきました。
夏は涼しく、冬は暖かく、屋根素材の耐久性も向上するなどメリットが多く、都市のヒートアイランド現象の抑制にもなります。
省エネ住宅と壁
省エネ住宅の断熱性を考えるとき、窓やドアなどに続いて壁も重要な対策ポイントです。
住宅の新築時やリフォーム時に壁の断熱対策をしっかりしておくことで、冷暖房の効果を高めることができます。
壁の断熱には外張り断熱と充填断熱があります。
充填断熱は内断熱とも呼ばれ、柱と柱の間に断熱材を入れる方法です。
世界中の多くの木造住宅はこの充填断熱の工法を用いており、日本でも主流となっています。
充填断熱では冷暖房の際に建物自体に熱を奪われないため、冷暖房効果を上げやすいという長所があります。
しかし柱や梁は断熱材を入れることができないため、外気の影響を受けやすく、また断熱材を分断して入れるため隙間が出来やすいという点が短所といえます。
外張り断熱とは外断熱とも呼ばれ、住宅の基礎から壁、屋根に至る建物全体を断熱材で外側から包んでしまう方法です。
この工法は住宅全体が断熱層の内側に入るため、夏は外気の影響をうけにくく、冬は一度温まると冷えにくいという長所があります。
また結露が発生しにくく、建物の耐久性も高まり、気密性が確保できるという点でも近年注目を集めています。
しかし断熱材を含んだ建物全体へ冷暖房効果が上がりにくいこと、外張り断熱に適する断熱材は比較的値段が高いため、全体のコストが高くつくという短所もあります。
また1軒の住宅で2つの工法を組み合わせる方法もあります。
どのような工法にしても、信頼できる設計者、施工者によってしっかりと工事を行うことによって、質の高い省エネ住宅を建てることができます。
省エネ住宅と断熱材
省エネ住宅の壁や屋根、床などは断熱材によって充填されています。
断熱材とは伝導による熱の移動を少なく抑えるための建築材料です。
熱は止まっている空気を間に挟むことで移動を抑えられます。
断熱材も同様、空気を閉じ込める構造によって熱の移動を抑えています。
住宅建築で使用される断熱材にはさまざまな種類があります。
代表的な断熱材とその特性は次のとおりです。
グラスウールはガラス繊維を絡めて作られたものです。
最も安価で耐熱性、耐久性、吸音性に優れ、現在多くの住宅建築に使用されています。
ロックウールは不要になった鉱物を繊維状にしたものを絡めて作られたものです。
これも安価で耐熱、耐久性に優れ、高い吸音性があります。
ポリスチレンは樹脂系の断熱材でビーズ法、押し出し法があります。
樹脂系の中では安価で軽量であり、耐水性に優れたものです。
フェノールフォームはフェノールのいう合成樹脂を使った断熱材です。
独立気泡で形成され安定性が高く、長期間にわたって断熱効果を発揮します。
セルロースファイバーは新聞紙などの古紙をリサイクルして作られたもので、環境に優しい断熱材といえます。
断熱性、防音性、調湿作用に優れています。
ヨーロッパなどで広く普及しているものです。
インシュレーションボードは木材繊維をからめてつくられたもので「エコ断熱材」の一つです。
断熱性に優れ、調湿作用があります。
他にも麻、絹などの植物繊維や動物繊維でつくられたものなどがあります。
省エネ住宅の断熱性能は断熱材だけでなく、施工方法とも深く関わっています。
断熱材の性能を最大限に発揮するために、住宅に適した断熱方法、施工者を選ぶことも大切です。
省エネ住宅と窓掛け
窓は省エネ住宅と大きく関わっています。
それは窓ガラスの熱伝導がよく、最も外気が侵入しやすい部分だからです。
省エネ住宅では断熱ガラスや断熱サッシを取り付けて断熱性を高める方法が効果的ですが、新築時ならともかく、既に取り付けてある窓ガラスを取り替えることは大掛かりな改修工事になり、簡単にできることではありません。
そこで窓を覆うための「窓掛け」を有効に利用する方法が考えられます。
窓掛けにはいろいろな種類がありますが、最も多く使われているのがカーテンです。
カーテンは窓面積の覆い方によって省エネ効果は違い、窓のガラス部分だけを覆うより、天井から床まで垂らした方が効果的です。
カーテンの上下に隙間ができるつり方は省エネ効果を下げてしまいます。
さらに一重より二重の方が省エネ効果は高まります。
厚地と薄地の2枚を吊るして昼間と夜間、夏と冬で使い分けることもできます。
カーテンのヒダは多い方が窓ガラスと室内との間にできる空気層が厚くなり省エネ効果が高まります。
ブラインドも住宅の窓でよく使われるものです。
羽を調節することで直射日光を遮断し、光や熱の量を調節することができます。
羽に遮熱塗料が塗られたものもあり、夏は冷房効率を上げながら、明るさも確保できます。
またブラインドとカーテンを組み合わせて使うこともより効果的です。
和室に多く用いられる障子も省エネ効果に優れたものです。
夏場の強い日差しを和らげ、冬は室内の空気の流出を防ぎ暖かく保ってくれます。
最近では破れにくい障子紙もあり、とても便利です。
窓掛けはインテリアとしてだけでなく、工夫次第では想像以上に省エネ効果を発揮するものなのです。
省エネ住宅と窓ガラス
窓は住宅の中で外気を取り入れたり、日射を取り入れるために欠かせない部分です。
しかし窓は熱伝導がよいため、外気の厳しい寒さや暑さの影響まで室内にもたらします。
そのため窓によっては室内の冷暖房効果を大きく下げる場合もあり、多くのエネルギーを消費することになります。
住宅の断熱性は窓ガラスの性質とも大きく関わっています。
省エネ住宅を考える時には省エネ効果の高い窓ガラスを選ぶことが望まれます。
一般的に住宅の窓ガラスとして多く使われるものには、フロート板ガラス、型板ガラス、編み入りガラス、合わせガラス、複層ガラス、真空ガラスなどがあります。
その中でも断熱性の高いものは複層ガラスや真空ガラスなどです。
真空ガラスは2枚のガラスの間に真空層をつくったもので、「真空は熱を伝えない」という原理から開発された窓ガラスです。
そして複層ガラスは2枚以上のガラスの間に空気やガスを入れてつくられたものです。
これらのガラスは断熱を目的に開発されたもので、住宅の中で高い断熱効果を発揮します。
省エネ意識の高いヨーロッパやアメリカではほとんどの住宅の窓で複層ガラスを取り入れており、日本でも近年では新築住宅において真空ガラスや複層ガラスの採用が多くなっています。
窓ガラスを選ぶときには設置後の冷暖房効率や、寒暖など住居の環境を考えて総合的に検討することが大切です。
近年では窓ガラスに貼り付けるシートによって、冷暖房効率を上げる商品も開発されました。
今後は窓ガラスにおける省エネ対策は選択の幅が増え、いっそう省エネ住宅が増えることが期待されます。
省エネ住宅と窓
住宅における窓の役割の一つに、太陽の光と熱を取り入れることがあります。
室内の温度は外気の侵入の度合いが大きく影響してきます。
それは、窓は隙間できやすく、また日射が入る場所であり、そして壁と比べて熱伝導もよい部分であるからです。
昔と比べて性能が良くなった現代の住宅では、窓ガラスからの熱気、冷気の侵入と損失が室内に大きく影響しています。
実際に住宅メーカーの調査では夏は窓から外の熱が53%室内に侵入し、冬は暖かい空気が37%流出するという結果もあります。
そこで省エネ住宅の建築には、一般的に窓にはペアガラスや断熱サッシが多く利用されています。
ペアガラスとはガラスを2枚使ってその中に空気を閉じ込めたもので、窓の断熱性を高めるために開発された効果の高いものです。
ペアガラス以外にもガラスにはいろいろな種類があり、それぞれ省エネ効果に違いがあります。
そして窓枠も断熱性の高い構造のものや、断熱効果の高い木や合成樹脂でできたものがあります。
実際にはガラスと窓枠の断熱性と、住宅がおかれる環境を総合的に判断して、住宅に必要な窓が決まっていきます。
また外気からの影響は窓の数や位置によっても変わります。
窓の数は同じ室内に2箇所以上あると風通しがよく、夏の遮光と冬の日射の両面を考慮すると、低い位置が適当だといえます。
省エネ住宅には窓の対策が重要なポイントになります。
窓を有効に利用し、冷暖房に頼り過ぎない生活を心掛けたいものです。
省エネ住宅と次世代省エネルギー基準
1990年代に入り地球温暖化のもたらす問題が指摘され始め、世界各国で防止対策が講じられるようになりました。
日本も例外ではなく、地球温暖化の防止対策の一つとして、各家庭における消費エネルギーを削減する取り組みが始まりました。
そこでそれまでの省エネルギー基準が見直され、新たに定められたものが現在の「次世代省エネルギー基準」です。
そしてこの基準を満たすため、快適な室内環境を保ちながら、さまざまな工夫で消費エネルギーを少なくするよう配慮された住宅が省エネ住宅です。
この次世代省エネルギー基準は「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断基準」と「同設計及び施工の指針」を指しています。
住宅や建築物の性能基準や、建築する時の具体的な仕様など、省エネルギー対策について具体的に定めた基準です。
家庭で消費されるエネルギーの約70%は冷暖房、給油設備だと言われています。
1軒ずつで消費するエネルギーはわずかでも、日本中の家庭を考えると膨大な消費量になります。
住宅の性能をあげることによって、日本全体のエネルギー消費量を抑制することが「次世代省エネルギー基準」の目的です。
住宅のエネルギー消費量を抑えることが温暖化を引き起こす二酸化炭素の削減になるのです。
また「次世代省エネルギー基準」は機密性と断熱性を高めることを重視しています。
これは日本の住宅が冷暖房を前提として建築されているためです。
断熱、気密化により「閉じる」機能と、窓の設置により「開ける」機能を利用して、住まいを快適にするという考え方がこの基準の特色です。
省エネ住宅と省エネ法
住宅では冷暖房、給油、冷蔵庫の家電製品などさまざまなところでエネルギーを消費します。
生活における消費エネルギーを少なく抑えられるよう配慮された住宅を省エネ住宅呼びます。
国土交通省ではエネルギー消費量を少なくするために、省エネ法によって基準を定めています。
省エネ法とは正式には「エネルギーの使用の合理化に関する法律」といい、建築物や機械器具において、石油、電力、ガスなどのエネルギーの効率的な使用促進を目的として制定された法律です。
この法律が制定された背景には、1970年代に起きた2度の石油ショックがあります。
この石油ショックで日本では産業や生活において省エネルギー対策が進み、エネルギーを効率的に利用する動きが始まりました。
しかしそれ以後もエネルギーの消費量は上昇したため、1979年に省エネ法が制定されたのです。
この省エネ法はこれまでに2度の大改正が行われています。
1度目は1998年で、この改正ではトップランナー方式が導入されました。
これにより自動車や電気製品の省エネ基準を、市場に出ている最も優れた製品の消費効率にすることが定められました。
2度目の改革は2005年では消費者が省エネルギーに取り組むことを促進する規定も整備されました。
当初は省エネルギー基準の対象は電気冷蔵庫、エアコン、自動車の3品だけでしたが、現在では20品以上の品目に拡がっています。
省エネ住宅は環境にも優しく、また住む人にも負担の少ない住宅であり、今日では国をあげて省エネ住宅の普及に取り組んでいます。
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